■使徒の働き 1/28/2024
二人はペルゲから進んで、ピシディアのアンティオキアにやって来た。そして、安息日に会堂に入って席に着いた。律法と預言者たちの書の朗読があった後、会堂司たちは彼らのところに人を行かせて、こう言った。「兄弟たち。あなたがたに、この人たちのために何か奨励のことばがあれば、お話しください。」(使徒13:14-15)
エルサレムに帰ったマルコを送ったパウロとバルナバは小アジアの港町ベルゲに上陸します。彼らが目指したのはその北にある高原都市ビシディアのアンティオキアでした。この町は皇帝アウグストが植民地化し、ローマ都市として栄えたようです。町には離散したユダヤ人たちも数多く住んでおり、会堂(シナゴーグ)もあり、安息日ごとに人々は集まって礼拝を捧げていたのです。
パウロとバルナバも礼拝を捧げるために会堂に入り席についていました。律法と預言者たちの書が朗読されたのちに、会堂管理者たちは目新しい二人に目を留め「兄弟たち。あなたがたに、この人たちのために何か奨励のことばがあれば、お話しください。」と勧めたのでした。
福音を伝える絶好の機会です。パウロはユダヤ人が理解しているイスラエルの歴史を順追って語って行きます。アブラハムの選びから始めて、エジプトからの救出、荒野の旅から約束の地への導き、士師の時代から、ダビデ王によるイスラエル国の誕生と話を進め、そのダビデの子孫から救い主が生まれるという神の約束がバプテスマのヨハネを経て、イエスキリストの到来によって実現したことを語って行ったのでした。それを聞きながらイスラエルの人たちは目の前に神様の救いの歴史をあたかもパノラマで見るかのように、思い巡らしたに違いありません。
実際、離散の民(ディアスポラ)となってその町に住んでいる人たちも、多くの苦難の歴史を得て、この地に住むようになっていたのです。ユダヤ人の歴史は自分たちの歴史でもありました。彼の拠り所は自分たちは「神に選ばれた民である」というアイデンティティでした。どこにいっても、神に選ばれた民であるというユダヤ人としての自己認識が支えでした。そのために安息日ごとに会堂に集まり聖書を読み、祈りを捧げていたのです。パウロのことばでそのことをより一層強くしたことでしょう。そしてそれは救い主イエスキリストへと自然に流れてつながっていくのでした。