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NO.004  2009.09.30

「危険な教会(Dangerous church)」

 

主のみ名を賛美します。
黄金色の稲穂が秋風に揺られて刈り入れを待つ頃となりました。また各地では文化祭や体育祭が催されています。さわやかな秋の風に包まれて、身も心もリフレッシュされたいものです。また、同時に私たちの魂は聖霊の豊かな油注ぎをいただいて、上からの力に満たされ力強く前進させていただくものとなりましょう。神様の豊かな祝福をお祈りいたします。
 私は9月8日から17日までアメリカ北西部、カナダバンクーバーの牧師研修ツアーに参加をいたしました。今回は北米の北西部の都市、ポートランド(オレゴン州)、シアトル(ワシントン州)、バンクーバー(カナダ、ブリティッシュコロンビア州)にある教会8つ、神学校2つを回りました。
 いわゆるバイブルベルトと呼ばれる北米南中央部から南東部にかけての地域(テキサス、テネシー、カンザス、バージニア州など)とは対照的に、今回訪れた北西部やボストンなどの北東部はクリスチャン人口が非常に少ない地域が特徴です。とくに北西部のクリスチャン人口は2%くらいしかいないとのこと。その意味では日本のクリスチャン人口とそれほど変わらないとも言えます。教会に行く人は少なく、ポストモダニズムといわれる時代の中で、価値の多様化と世俗化が進んでいる地域です。
教会も世俗化された社会の影響を受けて埋没しやすい傾向にあるのですが、今回訪れた教会はその中にあっても、人々に届こうとチャレンジし、多くの素晴らしい働きをしている教会です。2000人以上の教会をメガチャーチ(巨大教会)と呼ぶのだそうですが、今回訪れた教会のサイズは2000人から2万5000人規模の教会でした。それぞれにユニークな教会で、神様の働きの多様性を感じさせられました。そのような中でも共通する点を挙げるとすれば、以下のような点に要約できるかと思います。

            
  1. ミッショナルチャーチ(宣教的教会)であること。ただ時代に流されて待っているだけの教会ではなく、地域に積極的に出て行き、地域の必要に答えつつ、宣教の働きを展開していること。
  2. マルチサイト(複数の礼拝場所)であること。単に巨大な建物を建てそこに皆が集うというよりも、複数の礼拝場所を有し、複数の牧師や働き人が有していること。
  3. ファミリーグループ(小グループ)が働きの中心をなしていること。小グループで集まり、交わりを深め、愛を実践している場として用いられている。
  4. 変化を恐れず、チャレンジしていること。後継者問題や伝道の困難さを、変革のチャンスととらえ積極的に取り組んでいること。

 

ポートランドにある「リビングホープ」という教会の主任牧師ジョン・ビショップ師が、その研修の中で「もしあなたの教会がなくなったとすれば、そのコミュニティーの人たちはそれに気づくだろうか」と問いかけられました。確かに隣り近所の人たちは、あの教会がなくなったのか、という程度の認識は持つでしょうが、それが生活に何の影響も与えることはないでしょう。ましてそのコミュニティーにとっては、ほとんど何のインパクトも与えないのではないだろうか。そう思わされました。それは教会が大きくないからというサイズの問題ではなく、影響力や存在感の問題です。
イエス一人の存在がどれだけ世界を変えたか、それは歴史が物語っています。また初代の教会が、吹けば飛ぶような存在であったにもかかわらず、当時の為政者にどれほどのインパクトと脅威とを与えたか。そう思うと私たちの一人一人や教会の存在は決して小さいものではない、ということを覚えたいと思います。
初代の教会は一言で言えば「危険な教会」でした。それは当時の宗教指導者や為政者にとって、社会をひっくり返すほどのインパクトを与え、脅威となったという点において「危険な存在」だったのです。その危険な教会の特徴を考えてみましょう。
ペテロとヨハネは彼らに答えて言った。「神に聞き従うより、あなたがたに聞き従うほうが、神の前に正しいかどうか、判断してください。私たちは、自分の見たこと、また聞いたことを、話さないわけにはいきません。」
・・・ 主よ。いま彼らの脅かしをご覧になり、あなたのしもべたちにみことばを大胆に語らせてください。御手を伸ばしていやしを行なわせ、あなたの聖なるしもべイエスの御名によって、しるしと不思議なわざを行なわせてください。」彼らがこう祈ると、その集まっていた場所が震い動き、一同は聖霊に満たされ、神のことばを大胆に語りだした。【使徒の働き4:19-31】

 

Ⅰ 神に聞き従う教会
美しの門と呼ばれるところに座っていた生まれつき足の立てない男がペテロとヨハネの祈りによって癒されました。このことが大きな波紋を呼びます。神の奇跡に人々が驚き騒いでいるのを見て、当時の宗教指導者達は、その張本人であるペテロとヨハネを捕えて詰問をいたします。そのとき彼らは「神に聞き従うより、あなたがたに聞き従うほうが、神の前に正しいかどうか、判断してください。私たちは、自分の見たこと、また聞いたことを、話さないわけにはいきません。」と明快に応えるのでした。弟子達が何の迷いも躊躇もなく、力強く応えるのを見て指導者達は言葉を失うほどでした。
彼らの生き方、それは「神に聞き従う」という生き方です。かつて人々を恐れて隠れ、逃げ惑っていた弟子達はそこにはいませんでした。聖霊の油注ぎをいただいた弟子達は、人の言葉に左右されず、自分の信仰の姿勢を明確に示したのです。
私たちキリスト者がもう一度しっかりと立つべき土台があります。それは「神に聞き従う」者となるということです。当たり前と言えば当たり前です。でも振り返ってみれば何と私たちは妥協したり、言いたいことを言わないで沈黙したりしていることでしょうか。周りに気を遣い、遠慮をしすぎていることはないでしょうか。もちろん置かれた状況で証しをするには知恵を用いることが必要です。しかし、基本姿勢として『神に聞く』という姿勢を忘れてはなりません。イエスを信じる者として、イエスに従うものであるという明快な中心線を確立することが大切です。最初は勇気が要りますが、思い切って告白してみると、意外とスムーズに話が出来るものです。
Ⅱ リスク(危険)を負う教会
 「危険な教会」の第二の特徴は、「リスク(危険)を負う」ということです。その最たるものが、命を捨てることを恐れなかったということです。命をかけている人ほど強い存在はありませんし、相手にとってはこれほど怖い存在はありません。弟子達は自分たちの命を神に捧げていました。そのようなリスクを負うことをいといませんでした。
弟子達が隠れて安全で安心な場所にいれば守られたでしょう。迫害もないし命を狙われることもありませんでした。自分の信仰を細々と守ることは出来ました。しかし、それでは福音の前進はありませでしたし、当時の社会に何のインパクトも与えることはなかったでしょう。
日本のキリスト教の歴史も迫害の歴史でした。江戸時代、250年の長い迫害を経験してきました。しかしそこに流された殉教者の血がこの日本における福音の種となったのです。その犠牲の上に今の信仰の自由が勝ち取られていることを忘れてはなりません。
弟子達は「主よ。いま彼らの脅かしをご覧になり、あなたのしもべたちにみことばを大胆に語らせてください。」と祈りました。この大胆な積極的な祈りに神は応えてくださり、多くの不思議な業が起っていったのです。
リスクを負わないで、新しいことは生まれてきません。新しいことをしようとすれば、先ず人の批判があることを受け止めなければなりません。みんなが両手を挙げて賛成してくれることはないでしょう。しかし、それを越えて動けば新しい世界が開けてくるのです。批判や障害を恐れて何もしないことよりも、新しいことをチャレンジして、神の御業を体験することを求めたいと思います。「私たちが最も困難を覚えるときこそ、神が最も働かれる時である」と前述のジョン・ビショップ牧師が語ってくれましたが、本当にその通りです。
あなたが神のために負うリスクは何かを考えてください。大きな事だけでなく、日々の生活の中であなたの生活を変えるためにチャレンジすべき事柄があるはずです。家庭の中で、職場の中で、コミュニティーの中で、あなたが向合うべき課題にチャレンジしてみてください。信仰の壁が破れ、枠が崩され、大きな信仰の飛躍が起ることを信じてください。今までの常識や既成概念を破るために思い切ってリスクを負おうではありませんか。
Ⅲ 聖霊と共に歩む教会
『危険な教会』の第三の特徴は聖霊が共に働かれる教会であったということです。もし弟子達だけの力であったら、簡単に指導者達につぶされ、消し去られていたことでしょう。人間的な大胆さもそう長く続くものではありません。聖霊なる神が共に働かれ、彼らを支え、執り成し、導かれたのです。どんなにつぶされそうになってもまた立ち上がってくる。それは聖霊なる神様のバックアップがあったからなのです。
「聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」(使徒1:8)と言われたイエスの言葉の通りに、やがて迫害の中でも福音は地の果てであるローマにまで伝わり、300年の内にヨーロッパ社会がキリスト教国になるほどになったのです。
聖霊に聞き、聖霊と共に歩む者となりましょう。神に聞き、大胆にリスクを負い,福音のために生きようとする人の内に聖霊は圧倒的な力を持って臨まれるのです。

いつも兄弟姉妹のお祈りに感謝をいたします。今年もあと3ヶ月です。豊かな実りを期待しながら前進いたしましょう。人は蒔いた者を必ず刈り取ることになります。豊かな信仰の種、愛と祝福の種を蒔き続けましょう。兄弟姉妹のために続けてお祈りをしております。
最近カセットではなくCDを送ってくださいと言われる方が増えております。もしテープを聴いておられる方でCDが希望と言われる方はご一報ください。変更をいたします。また、教会のホームページも充実してきています。ライブ礼拝だけでなく、近々いつでも礼拝の様子が動画で見れるようになる予定ですのでご期待ください。教会ホームページのアドレスはhttp://www.hopechapel.jpです。

神様の圧倒的な祝福が兄弟姉妹の上にありますように。祈りに答えてくださる主に心より感謝しつつ。

キリストのしもべ        西田育生

9月8日~17日北米ビジョンツアー


① 共に参加された牧師先生たち ② ニューホープチャーチ(ポートランド) ③ シティバイブルチャーチ(ポートランド)
④ カナダバンクーバーにて ⑤ リージェント神学校(カナダバンクーバー)

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