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NO.173  2011.12.11

 「第3の道」

 

「・・・恐れないであなたの妻マリヤを迎えなさい。その胎に宿っているものは聖霊によるものです。」
(マタイの福音書1:20)

 

人生には思いがけないことが沢山起こります。特に今年は、3月11日に未曾有の地震と津波、更には原発の放射能汚染という三重苦を経験することになりました。今なお放射線との戦いを福島の方々は続けておられて、なかなか心が安らない状況が続いています。
昨日も郡山でクリスマスの集会の後の祝会を持ちました。出されたリンゴの甘さとおいしさに感動してそのことをお伝えすると、「今年のリンゴの出来は近年になく一番いいんです。でも、このリンゴを出荷しても風評で売れないんです。お米も福島のお米は日本で一番おいしいと米販売店から言ってもらえるほど美味しいんです。しかし、それも出荷できないんです。」そのお話を聞きながら、福島の方々の痛みが伝わってきました。その苦しみの中にも神様の慰めと新しい可能性に向けた導きがあることを兄弟姉妹と一緒に祈ったことでした。
思いがけないことが起こったときどうするか。それは私たちにとっても大きな課題です。
2000年前その状況に直面したのが、マリヤと婚約関係にあったヨセフという男でした。結婚の日を夢に描き、マリヤとの家庭生活を楽しみにしていました。しかしそれが一変してしまいます。なんと、マリヤが身籠もったというのです。しかも、聖霊によって身籠もったとマリヤは言うのです。いくら信頼しているマリヤとはいえ、聖霊によって身籠もるとは、信じがたいことでした。彼は思いを巡らしながら、どうすればこの状況を解決できるかと苦しみ必死で打開策を模索します。
考えられる第1の方法、それはマリヤに対して、不倫行為をしたと言うことで、彼女の罪を公にし、破談にすることです。しかしそうなれば、マリヤは生涯罪のレッテルを張られて、片隅で生きる事になるでしょう。第2の道はヨセフが責めを負う道でした。すなわち、一緒になる前に関係を持ってしまってマリヤが身籠もってしまった。しかし、ヨセフはマリヤが気に入らず、離縁をする。そうすれば、子どもを身籠もらせて離縁するとは、ヨセフは何という男かと彼が非難を受けるが、マリヤにはその非難は行かず、自分だけが
その罪を負えばよい。しかし、マリヤの身籠もりを聖霊によるものとは受け入れられず別れることにする。
 ヨセフとすればそれが精一杯の打開策であったにちがいありません。マリヤとの関係の亀裂に嘆きながら必死で出した答えではなかったでしょうか。しかし神様はそのどちらの道でもない第3の道を用意しておられたのです。
その第3の道とは、ヨセフに御使いが直接現れて、マリヤのお腹の中の子どもは聖霊によるものであることを告げ知らせ、マリヤを妻として迎えること。そうしてその子どもの父親になるという道でした。
 ヨセフはこの御使いのお告げを聞き、神様がなさろうとしている偉大な計画があることに目覚めていくのでした。そして、マリヤとその子どもを命がけで守り育てていく決意をしていくのです。
 ヨセフとマリヤに備えておられたように、神があなたのために備えられている道があることを信じてください。このクリスマスこそその神が備えられた第3の道を見いだすときなのです。

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