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NO.165  2011.10.16

「この時のために」

 

あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない。(エステル記4:14)

 

昨日、JTJ神学院の学友会が佐藤彰牧師先生を招いて講演会が当教会でございました。私も久しぶりに先生にお会いして講演を聴く恵みに預かりました。佐藤先生が牧会されていた福島第一聖書バプテスト教会は、あの福島第一原発から5キロメートルの双葉郡大熊町にあります。3月11日の大震災に続いての原発事故で教会は流浪の教会となり、教会員全員が町の7万人の人達共々一晩の内に避難を余儀なくされ、以来、転々と避難生活を送ってこられているのです。
奇しくも先生の誕生日は3月11日だそうです。アメリカの同時多発テロが起きた9月11日の時もアメリカにおられたそうで、まさに未曾有の危機の時にその渦中にいるという本当に不思議な巡り合わせを経験しておられます。新会堂を失い、離郷を余儀なくされ、教会員と一緒に避難生活をされているご苦労がどれほどのものか。報道されている震災の状況とはまるで違う悲惨な状況を聞かされながら、心痛む思いでした。でも同時にその苦しみの中で、神を見上げ、神のみこころを探り、主の深いご計画を受け止めておられることに深い感銘を受けました。
「出エジプトしたイスラエル人が荒野をさ迷い、旅を続けたように、今まさに教会は荒野を旅している。しかし、そこには神の雲の柱、火の柱があって、決して民から離れない。神の奇跡を数え切れないほど経験しています。全てを失い、苦難を通らされている今こそ、神の恵みの大きさが浮き出て見えるのです。聖書の世界が遠い世界ではなく、本当の生きた世界として体験させられています。」 と言われていました。
今、先生のブログが世界中に配信され、世界が注目する教会になっています。先生の本が既に韓国語、中国語に訳され、やがて英語で出版される予定で、更に多くの言語に翻訳される予定だそうです。世界各国のメディアから取材を受け、震災にあった日本の教会が忍耐強く生き続け、輝き続けていることが話題になっているのです。
「震災が起こり、福島第一原発事故が起こり、同じ名前の福島第一聖書バプテスト教会の会堂は閉鎖されました。しかし、その会員は主の証人として散らされたところで力強く証ししています。私たちはあのエステルの叔父のモルデガイがユダヤ人滅亡の危機を救済するために孤児から王妃になった意味をエステルに語ったように、私たちの教会もまさに、この大震災の日本の中で『この時のために』建てられていると心に信じているのです。」と語られる佐藤彰先生の言葉に神の御手があることを強く覚えました。
私たちの人生には予期せぬ事が起こります。突然、どうしてこんなことがと思われることが起こるのです。そしてその多くは苦しく、辛いことです。その時は分らず、もがき苦しむことがあります。しかし、神の御顔を仰ぎ、主に祈り問い続けるとき、その中で主が共におられることに気付き、主の深い計画があることを知らされるのです。
いま、佐藤先生は主が召し出された福島に帰るために、教会員のための住居や会堂合わせて730坪と土地を購入されました。もちろんお金があるわけではありませんが、主が備えてくださることを信じ、震災の中で人々の希望の光となることを願って踏み出しておられるのです。新しい教会のテーマは「祈りと復活」だそうです。主の御業のために続けて祈りたいと思います。
  わたしたちも今置かれているところに意味があるから生かされていることを覚えましょう。この時のためだったという事が必ず起こされるのです。

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