■黙想エッセイ
リンカーンの伝記を記した作家は「神様はリンカーンに偉大な人になる条件を一つも与えなかった。ただ、貧困と立派な信仰を持つ母を与えられただけである」と記しています。リンカーンの母ナンシーは、畑仕事と雑用でいつも忙しくしていましたが、子どもたちの世話にしつけは怠りませんでした。ナンシーは、物質的な豊かさよりもはるかに尊く価値ある人生の宝という種をリンカーンに蒔きました。その宝とは、「信仰」と「夢」でした。
静かな午後や夕食後にくつろいでいるときは、いつも聖書の話を聞かせました。後にリンカーンは、「母が私の心に描いてくれた絵の中で最も印象深かったのは、神様がモーセに与えられた『十戒』の話だ。その話は忘れたことがない」と回想しています。弁護士時代に賄賂の誘惑にさいなまされたリンカーンは、その度に母親が心に蒔いてくれた聖書の話を思い出し、誘惑に打ち勝つことができたといいます。イギリスの文学者ベンソンは、リンカーンを「アメリカで最も正直な弁護士である」と称賛しました。リンカーンがこのように称賛された理由は、「神様のことばどおりに生きなさい」という母親の教えを実践したからです。
神様のことばに献身するときに約束し、その約束を何があっても守り通す人は必ず神様に用いられるのです。その道にどんな難関や絶望や挫折があっても、神様の導きがあることを堅く信じる心を捨てないようにしましょう。