■黙想エッセイ
「ストックデールの逆説」という言葉があります。ベトナム戦争当時、アメリカの戦闘機操縦士だったストックデールは、戦闘機が墜落して捕虜になり、ハノイ捕虜収容所で8年もの歳月を過ごしました。彼はひどい拷問を受けながらも生きながらえました。彼が解放されてから、記者たちは彼に「捕虜収容所で最後まで耐えきれず死を迎えたのは、どのような人たちでしたか」と質問しました。「それは、楽観主義者です。彼らはクリスマスには収容所から出られるだろうと考えましたが、出られませんでした。復活祭までには出られるだろうと考えましたが、出られませんでした。それでも収穫感謝祭までには出られると思っていたのに、結局は出られず、失望して死んでいったのです。」
希望について語れば語るほど、かえって絶望のほうが大きくなっていったというのです。聖書の中に登場する偽預言者の特徴は、人々が聞きたがることばを語ったということです。一国が完全に滅びるまで偽りの希望を真実のように語ることをやめませんでした。一方、真の預言者は、空しい希望を語ることはありません。 そして、偽りの平安と希望を語る偽預言者たちを警戒します。冷たい現実の中で崩れていく心を偽りの希望によって支えようとするなら、苦しみは終わりません。神様だけが苦しみを終わらせることができるのです。神様に立ち返ることだけが、道なのです。真の希望は、神様だけが与えてくださいます。私たちに必要なのは、偽りの希望ではなく、真の希望なのです。