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現代に生きる新約

No.211  2012.09.02

 ■ルカの福音書  9/2/2012

 

ヨセフもガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
彼は、ダビデの家系であり血筋でもあったので、
身重になっているいいなずけの妻マリヤもいっしょに登録するためであった。
(ルカ2:4-5)

 

皇帝アウグストによる全世界の人口調査が発布され、ヨセフは身重になっている妻マリヤを連れて、生まれ故郷のベツレヘムに帰っていきます。ガリラヤのナザレからベツレヘムまでは直線距離にして115キロほどです。山や丘などの高低差や曲がりくねった道を考えると150キロは悠にあったであろうと思われます。身重のマリヤを連れての旅は一週間は十分かかったのではないかと言われています。産み月のマリヤにとってみれば大変な重労働であり、無理をすれば流産の危険性もあったことでしょう。その意味でも、この旅は決死の覚悟でなされたものであったにちがいありません。
ベツレヘムはダビデ王の出身地として、別名ダビデの町としてよばれていましたが、ヨセフにとってはそれ以上の意味がありました。実はヨセフはダビデの家系であり、その血筋の人でした。建国の父でもあるダビデの王家はその子孫達の罪により、今は没落し跡形もなくなってしまったように見えました。しかし、神様は決して約束されたことを忘れるお方ではありません。預言者達によって預言されているように、ダビデの家の再興(イザヤ55:3;エゼキエル34:13)がいよいよイエスによって実現しようとしていたのです。
それは、目に見える国や政治的な意味での王国ではなく、国や人種を越えた世界の救い主としてのイエスの登場でした。ヨセフはダビデの血筋には不相応な貧しい生活を強いられていましたが、神は彼を通して、人々が待望していた救い主の到来を実現しようとされていたのです。
神のなさることの不思議を覚えましょう。私たちが想像出来ないような事を通して、また思いがけない状況を用いて神の御業はあらわれるのです。

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