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NO.691  2021.11.14

「言葉の料理人」

 

あなたがたのことばが、いつも親切で、塩味の効いたものであるようにしなさい。そうすれば、一人ひとりにどのように答えたらよいかが分かります。(コロサイへの手紙4:6)

 

以前、アメリカに住んでいた時、友人の女性に「あなたは鼻が高いね」といったところ、いやな顔をされたことがあります。「アメリカではあまり外見のことや体のことは言わないほうがいい」と言われたことことがありました。私としては誉め言葉のつもりで言ったのですが、かえって相手を嫌な思いにさせてしまったようです。
それぞれお国柄がありますので、その文化をある程度理解しておかないと、相手を怒らせてしまうことにもなりかねません。特に女性に対しては「顔が小さい」「鼻が高い」「背が高い、大きい」「髪が多い、少ない」といった言葉は言わないほうが賢明です。「痩せている」という言葉もアメリカでは必ずしも誉め言葉にはなりません。痩せている、太ったなど体や健康にかかわることはデリケートなことなので、よほど親しい関係でないと言わないほうが無難なようです。
確かに言葉の使い方はとても大切ですが、また同時に人を容易に傷つけてしまうことにもなりかねないので、気を付けなければなりません。また話し言葉と文章でのやり取りも違いがあります。最近はラインやメールを盛んに使うようになりましたが、ラインやメールは言っていることがダイレクトに伝わりやすいので、特に慎重さが求められます。わたくしはですから、大切なことはなるべくメールで終わりにしないで、直接あって話すように心がけています。会って話すことでその人の表情や言葉のトーン、雰囲気などで言葉以上のメッセージを受け取ることができるからです。
聖書は「あなたがたのことばが、いつも親切で、塩味の効いたものであるようにしなさい。」とあります。特に、何か相手に理解してもらいたい時とか、わかってもらいたいときには、その下準備が必要です。その下準備とは互いの関係性です。親密な関係がある程度でき上っていると、伝えたいことが伝わりやすいですし、受け入れてもらいやすいのです。
料理の上手な人は下準備に時間をかけます。おいしくするためには時には材料を水につけて苦みやあくを抜いたり、また時には不必要なヘタや部位を取り除いたりします。そこに手間暇をかけておくとおいしい料理ができるのです。昨今は手間暇のかからない簡単料理が流行ってはいますが、人間関係はそう簡単にはいきません。
相手とのコミュニケーションがうまくいくためには、普段からの下準備を心がけておきましょう。良い人間関係を造るには「いつも親切で、塩味のきいたものであるように」とあります。相手のことをねぎらう言葉、優しい言葉、共感する言葉。などを多く使いましょう。「ご苦労様」「お疲れ様」「いつもありがとう」「そうでしたか。それは大変でしたね。でもよく頑張られましたね。」「いつも感謝しています。」「いつも励まされています。」など、ともに喜び、共に泣く、共感と愛の関係を構築していきましょう。あなたも下準備をしっかりされる「素敵な言葉の料理人」になることができるのです。 

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