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NO.619  2020.06.28

「変革に伴う痛み」

 

愚か者は自分の道を正しいと思う。しかし知恵のある者は忠告を聞き入れる。(箴言19:20)

 

ピーター・ドラッガーという人をご存知でしょう。彼は、今日の経営マネッジメントの概念を生み出した経営学者であり、クリスチャンでもあります。彼の著作の数々は今でも多くの会社経営の指針として用いられています。日本にもドラッガー研究会があるほどです。
彼が33歳の時、ゼネラルモータース社から、会社経営のアドバイスを求められました。18カ月にわたって彼は実際に会社に入り、経営状態や組織を観察し、どうすればさらに良い会社になるかという提言を書きました。その内容は「会社という概念」という本になって出版されています。
しかし、依頼したゼネラルモータース社の経営陣からはこの提言は反発をされてしまい、まったく採用されることはありませんでした。ドラッガーの指摘はまさに会社の痛いところを突いており、会社の幹部は猛反発をしてしまったのです。痛く彼らのプライドが傷ついてしまったからでした。
ところが一方ライバルのフォード社は、ゼネラルモーターズの改善点を指摘したこの本を通して自分たちの会社の問題点を理解し、変革に取り組み、会社組織や運営や人事など、改善を次々に行い、素晴らしい業績を伸ばしていったのです。
このエピソードは私たちの歩みににも当てはまります。人は耳障りの良いことを聞きたいのです。痛いことを言われたり、間違いを指摘されたりすると、傷ついてしまいます。みな何かしらのプライドがあるので、自分を変えるための痛みや辛さを経験したくないのです。
しかし、自分の改善点を指摘してくれる人は尊い存在なのです。当初はその忠告は当たっているほど、受け入れるには感情がついていけないかもしれません。しかし、忠告を聞き入れるなら、多くの祝福を手にすることができるのです。目先のプライドや安定を優先させるか、それとも痛くても変革にチャレンジするか。その選択次第で私たちの人生は大きく変わってきます。
愚か者は自分の道を正しいと思う。しかし知恵のある者は忠告を聞き入れる。」と箴言にあります。知恵ある人は忠告を聞き入れる人です。神様は私たちの周りにそのような忠告者やアドバイスをしてくれる人を置いておられるのです。
あるいは様々な出来事を通して、神様が私たちに忠告や警告を知らせておられる場合もあります。人の批判や忠告の中に、あるいは自分の身に起こった困難や試練の中に、神様が私たちにさらに成長するための気づきや悟りを備えておられるのです。そのようにすべてのことの中に神様の御手と導きを感じることのできる人は幸いです。神様はあなたを豊かに祝福してくださいます。

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