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NO.367 2015.08.30

 「被害者意識に気を付けよう

 

『ご主人さま。あなたは、蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めるひどい方だとわかっていました。

私はこわくなり、出て行って、あなたの一タラントを地の中に隠しておきました。』
(マタイの福音書25:24b~25)

 

聖書に出てくるイエスのたとえ話です。ある主人が旅に出るとき、しもべたち3人にそれぞれ5タラント、2タラント、1タラントの財産を預けたというのです。聖書の脚注を見ると1タラントは6000デナリとあります。1デナリは大人の男性が1日働いてもらう平均的給与です。1デナリを10,000円で換算すると5タラントは3億円、2タラントは1億2000万円、1タラントは6000万円ということになります。
早速最初の二人は商売をし、それぞれ5タラントの人はもう5タラント、2タラントの人はもう2タラント儲けました。しかし、最後の人は土地を掘り預かった1タラントを隠してしまいました。
しばらくして主人が帰ってきて、清算の時を迎えました。倍に増やした二人の人には『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』と主人からほめられ、さらに多くのものを任せてもらえるようになりました。
1タラント預かった人はどうだったでしょうか。彼は『ご主人さま。あなたは、蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めるひどい方だとわかっていました。私はこわくなり、出て行って、あなたの一タラントを地の中に隠しておきました。さあどうぞ、これがあなたの物です。』とお金を差し出したのです。それを聞いた主人は、商売ができないなら、どうしてそのお金を銀行に預けなかったのか。利子がついて元金と利子を返すことができたのにと諭し、1タラントのお金を5タラントの人に渡したのでした。
ここでいう主人とは神様のことであり、しもべとはタラント(タレントという言葉にもなっている神から与えられている才能とか賜物)を預かっている私たちキリスト者として捉えることができます。神様は私たちひとりひとりに賜物やその人ならではの果たすべき役割を与えておられるのです。5タラント、2タラント、1タラントと預かったものには差があるように思えますが、最初の二人には「良い忠実なしもべだ」「わずかなものに忠実であった」「多くのものを任せよう」と全く同じ言葉をかけておられるところから、賜物の多少が問題ではないことがわかります。与えられたものを素直に受け取り、それを忠実に生かし増やすことを主は願っておられるのです。
しかし、賜物を生かせず、反って1タラントを地中に埋めてしまった人の中にあったものは何だったのでしょうか。それは一言でいえば、この人の中にあった「被害者意識」です。「ご主人はひどい方だ」という彼のことばからその意識が伺えます。割の合わないのは自分だ。被害にあっているのは自分だ。いつも貧乏くじを引くのは私だ。というような思いにとらわれていたのではないでしょうか。
結局自分の中にある賜物の値打ちにも気づかず、不平と不満、ひがみ、嫉妬、ねたみ、などの意識の虜になってしまいます。絶えず加害者を見つけてその人を責めるようになってしまいます。また、前向きなことにエネルギーを使うことができず、膨大なエネルギーをそれらの思いに費やしながら人生を生きることになってしまいます。
神様の愛と恵みが豊かに注がれていることを信じましょう。被害者意識の原因となる痛みや傷を十字架に着けるように致しましょう。聖霊の助けをいただき、歪みから解放され、恵みと祝福の意識にとらえられて生きてまいりましょう。

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