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NO.137  2011.04.03

「生き方を変えるチャンス 」

 

しかし、主は、「わたしの恵みは、あなたに十分である。
というのは、わたしの力は、弱さのうちに完全に現われるからである。」と言われたのです。
ですから、私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで私の弱さを誇りましょう。
(Ⅱコリント人への手紙12章9節)

 

アメリカの神学者「ラインホルト・ニーバーの祈り」はあまりに有名です。

 

神よ、 変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、 識別する知恵を与えたまえ。

 

今 回の東日本大震災は、この言葉の意味を深く思い起こさせてくれています。被災者の方が「寝て起きたとき、これは夢であったということになればと思ったので すが、やはり現実でした。」と言っておられる言葉に心が痛みました。この震災が無かったことになればと誰しも思います。時間を逆回りに出来ればとさえ願い ます。しかし、起こったことは現実です。神の助けがなければ、この現実に本当に押しつぶされてしまうほどです。改めて、私たちには神への信頼と信仰が必要 不可欠であることを覚えます。

伝道者パウロは自分の身に起こる数々の患難に疲れていました。「このことについては、これを私から去らせて くださるようにと、三度も主に願いました。」(Ⅱコリント12:8)と告白しているほどです。肉体的弱さ、迫害や自然の災害、おおよそ考えられるだけの様 々な困難に彼は直面いたしました。その都度、この弱さがなければどんなにか力強く福音を伝えることが出来るだろうかと思ったのです。 彼の宣教は実にこのような困難と弱さと隣り合わせの宣教でした。

しかし、その都度彼の心に響いた言葉がありました。「わたしの恵みは、あ なたに十分である。というのは、わたしの力は、弱さのうちに完全に現われるからである。」この言葉を受け入れたとき、彼の生きる態度が変りました。困難か ら逃れさせてくださいと祈るのではない。弱さを強さに変えてくださいと祈るのではない。実に神はこの弱さの内に力強く働かれるのであるという信仰に立った のでした。以来彼は「私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで私の弱さを誇りましょう。」と積極的に弱さを誇り、キリストを誇ったので した。そうして数限りない神の御業を困難な中で体験しました。弱い自分を通して働かれる神の救いの御業、聖霊の御業を目の当たりにしたのでした。神は困難 な状況の只中に働かれるのです。

ニーバーのように、変えられない現実を受け入れる冷静な信仰の姿勢を与えられましょう。そうして変えるこ との出来る自分の生き方については、パウロのように大胆に「自分の弱さを誇る」という生き方へ転換させていただきましょう。困難と試練を経験している今こ そ私たちが変革される最大のチャンスなのです。

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