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NO.131  2011.02.20

「自分の事に先ず集中しよう」

 

ペテロは彼を見て、イエスに言った。「主よ。この人はどうですか。」
イエスはペテロに言われた。
「わたしの来るまで彼が生きながらえるのをわたしが望むとしても、
それがあなたに何のかかわりがありますか。あなたは、わたしに従いなさい。」
(ヨハネの福音書21:22)

 

出張先の空港でのことでした。元気な子どもがはしゃいで走り回っていました。ところが勢い余って転んで泣き出してしまいました。するとすかさずその子のお母さんが近寄ってきて、抱き起こしてなだめていました。「走り回っちゃだめじゃないの。周りの人の迷惑になるし。それにこのシャツどうしたの。ズボンから出てしまって。それに顔にチョコがついたままよ。きれいにしなさい。」お母さんは子どものシャツをズボンの中に入れてやり、ハンカチで子どもの口の周りに付いたチョコをきれいに拭いて上げていました。
その子は3歳くらいの男の子のようでしたが、お母さんの手を払いながら、でも言われるままにきれいにしてもらっていました。見ていて何ともほほえましい光景でした。でもその時ふと「このお母さんはこの子にいつ頃まで、こんなにしてあげるのだろうか」と思ってしまいました。
親は子どものことが当然気になります。また、親が子どもに関わる事は必要不可欠です。しかし、子どもの成長と共に次第に子どもを見守るような立場になり、やがて自立できるように促し支援していくのが親の在り方でもあります。
ところが子どもに干渉しすぎてなかなか子離れできない親や子離れできない子どもも多い事に気付かされます。結果、子どもは親に依存する、親も自分がいないとこの子はだめになってしまうと思いいつも口出しをしてしまう。互いが依存、共依存の関係になり、互いの人格や行動の境界線が曖昧になり相手の領域にまで入り込んでしまう。相手が自分の思うように動いてくれないといらいらしたり、腹が立ってしかたがない。何とか自分の言うように言うことを聞かせたいと思って更に相手に干渉をしてしまう。また、反対に強く出てくる相手に対して「NO」といえない。嫌われると思うと本意ではないのについつい相手の言うことを聞いてしまう。そんな悪循環に陥っている人たちによく出会います。
聖書にもそれに当てはまるような記事が出てきます。復活のイエスに出会ったペテロはイエスから「私の羊を飼いなさい」と言われて、彼がこれからなすべき使命をいただきました。しかしその時ペテロは一番若いヨハネのことが気になりました。「主よ。この人はどうなりますか」とヨハネのことを思わず尋ねたのでした。恐らくペテロはヨハネの面倒をよく見ていたのでしょう。彼の将来が気になったに違いありません。しかし「それがあなたに何のかかわりがありますか。あなたは、わたしに従いなさい。」とイエスははっきり言われたのでした。ペテロが集中すべきは自分の使命だったのです。ヨハネはヨハネで神様の計画があり、それは彼が受け止めて生きていくべきものでした。彼がヨハネへの計画に口を出す筋合いではなかったのです。
私たちは先ず自分のなすべき事にしっかりと集中しましょう。人を変えようとしたり人を操作することはできません。それは神様に委ねて、自分の領域に集中することが大切です。

あなたは周りの人にいらいらしたり、口出ししたくなるような人はいませんか。また、言いたいことが言えないでストレスを抱えたりしてはいませんか。夫婦や友だち、親子の関係はどうでしょうか。先ず自分の生き方を神の前に問い直してみてください。人のことに干渉する前に自分の守備範囲でできることに集中してみましょう。「あなたは、私に従いなさい。」そういわれるイエスの言葉をしっかりと聞き取っていきましょう。

 

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