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NO.081  2010.03.07

「希望の光」

 

私はあなたがたに、食事をとることを勧めます。これであなたがたは助かることになるのです。
あなたがたの頭から髪一筋も失われることはありません。」
こう言って、彼はパンを取り、一同の前で神に感謝をささげてから、それを裂いて食べ始めた。
そこで一同も元気づけられ、みなが食事をとった。(使徒27:34-36)

 

厳重なローマ兵の警備の中、パウロはローマで裁判を受けるために護送されていました。皇帝の前で、キリストの福音の故に捕えられていることを弁明するためでした。
ところが、船出して間もなくユーラクロンという激しい暴風雨に遭遇してしまいます。何日も船は流され難破する危険にさらされていました。積み荷を投げ捨て、荷を軽くし、あらゆることを試みて、船をコントロールしようとしましたが、船は流されるばかりでした。船員達は動揺し、中には逃亡を試みる者も現れたり、生きる望みさえ絶たれるような状況下で、皆がパニックに陥っていました。
しかし、一人だけ平然としている男がいました。それはパウロでした。囚われの身でありながら、彼だけが平常心を保っていました。それだけではありません。動揺し何日も食事をしないで疲労困憊している人々に「元気を出しなさい。あなたがたのうち、命を失う者は一人もありません」(使徒27:22)と励ましました。また食事を取ることを勧め、自ら率先して神に感謝をささげてからパンを食べ始めたのです。それを見ていた人達はその確固とした態度と力強い言葉に励まされ、皆が食事をとったのでした。そしてついに島に流れ着き、命を失う者は一人もなく、後にローマに到着することが出来たのでした。
パウロの確信はどこから来たのでしょうか。それは神への信頼であり、信仰以外何ものでもありません。神が彼を導いておられる事を信じ、祈りの中で確信をいただいていたパウロは、人々に大胆に前向きに語ることが出来たのです。
試練と困難の中でパウロのような人は貴重です。皆が否定的になり、投げやりになり、あきらめてしまうような中で、神の希望を語り、人々を励ますことが出来る。何という信仰者の輝きでしょうか。
イエスご自身、「あなたがたは世の光、地の塩である」と言われました。あなたという存在を通してキリストはご自身の輝きを照らさせて下さるのです。あなたという存在の素晴らしさに気づいて下さい。
普段は余り目立たないかも知れません。時には周りからクリスチャンと言うことで特異な存在のように見られるかも知れません。しかし、あなたの祈りや誠実な生き方、神を信頼している姿や言動は、周りの人々にとって大きな光なのです。
隣人を愛するということは特別なことではないのです。現代は皆が無関心です。自分のことで精一杯です。関わり、励ましてくれる人をどれだけこの社会は求めていることでしょうか。あなたの優しさを周りの人達に与えて下さい。イエスはあなたと共におられるのです。キリストの不思議な恵みがあなたを通して流れていることを覚えて、益々周りの人達を祝福する者となろうではありませんか。人々はあなたの励ましを待っているのです。

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