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NO.061  2009.10.18

「心の叫びに耳を傾ける」

 

自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。あなたがたの間では、そのような心構えでいなさい。それはキリスト・イエスのうちにも見られるものです。(ピリピ人への手紙2:4-5)

 

 二人の心理学者が、対人関係のグラフモデルを作成しました。のちに二人のファーストネームをもじって「ジョハリの窓」と呼ばれるようになりましたのでご存知の方も多いかと思います。人には四つの窓があってそれぞれ自分の心の領域を示します。
第一は他人も自分も知っている部分を示す窓。第二の窓は他人は知っているが自分は知らない部分。第3の窓は他人は知らないが、自分は知っている自分。第4の窓は他人も自分も知らない自分です。
どの窓が大きいかで開放的な人かそうでないかを判断したり、自分自身をどれだけ理解しているかを評価したりするときの目安に用いたりします。自分も他人も知らない部分が少なくなればなるほど自分をオープンにしている開放的な人と言えるでしょう。
しかし、自分のことを人に知ってもらうためには、自分の思いや考え、感情を伝えなければなりません。それには努力が必要です。まして、自分のことでもそうならば相手のことになるならばなおさら知らないことばかりです。
結婚講座が教会でスタートしました。その第一回を行いましたが、皆さんお互いの新しい発見があったようです。夫婦だから何でも分かっていると思うとそうではありません。互いに違う者同士が結ばれたのですから、親密な交わりを深めていくためには相手のことをよく知る努力を怠ってはならないのです。その意味で、参加されている兄弟姉妹は互いの理解を深める良い機会となると信じます。
 良いコミユニケーションを図るためには、先ず第一に相手のことにフォーカスをあてて相手が言わんとすることを聞き取ることが大切です。イエスは「自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。」と言われました。どちらかというと私たちは自分のことを知ってもらいたい、自分の気持ちを分かってもらいたいと思います。しかしそれは相手も同じです。人の気持ちに目をとめられる人は幸いです。

次に大切なことは相手の表面的な行動や言葉だけでその人を評価しないことです。イエスは人々を見られたとき、「羊飼いのいない羊のような姿を見られて、深く憐れまれた」とあります。イエスは彼らの家系や素行の悪さ、人の評判などうわべの評価に目を向けられませんでした。彼らの心の叫びを聞きとられたのです。私たちも表面だけで人を判断していることはないでしょうか。相手の言葉の裏にある、人の心の状態や叫びに耳を傾けることができるならば、相手と気持ちを共有できるようになります。イエスのように相手の心の叫びに耳を傾け、理解し、祈りを捧げるようにいたしましょう。そこに愛の交わりが生まれるのです。

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