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NO.031  2009.03.22

「言葉の背後にあるものに気をつけよう」

 

 淀川キリスト教病院の名誉ホスピス長の柏木哲夫医師がその著書の中で「祝宴歌」という詩を紹介しておられました。
吉野弘という方の作品で結婚式の披露宴などで紹介されるそうです。

 

「二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい 立派すぎないほうがいい
立派すぎることは長持ちしないことだと気づいているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい 完璧なんて不自然なことだと うそぶいていたほうがいい
二人のうちどちらかが ふざけているほうがいい ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても 非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは 少し控えめにするほうがいい
正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気づいているほうがいい
立派でありたいとか 正しくありたいとかいう 無理な緊張には 色目を使わず
ゆったり ゆたかに 光を浴びているほうがいい
健康で風に吹かれながら 生きていることのなつかしさに 
ふと胸が熱くなる そんな日があってもいい
そして なぜ胸が熱くなるのか 黙っていても  二人にはわかるのであってほしい」
(「心をいやす55のメッセージ」pp.80-82から抜粋)


 結婚する二人が仲睦まじく過ごすための勘所がよく現されている歌ではないでしょうか。この詩を引用しながら柏木先生は自らの体験を通して「正しいことを言うときは 少し控えめにするほうがいい」と言っておられます。
 私たちは言い争いになる時には必ず自分が正しいと思って相手を非難します。もちろん言われるほうにとっても、指摘されるとその通りと思われることもあります。しかし、どのように言うかで伝わり方が違います。正しさの背後に非難の心が感じられるとどうしても素直になれない。逆に反発を感じてしまい、相手の失敗を思い出して、「そういうあんただって・・・」と言い返してしまいたくなってしまいます。
 この詩のように、正しいことを言う時には、少し控えめに言うことを心がけたいものです。また非難の心をできるだけ少なくして、愛の心で言うようにしてみてはどうでしょうか。難しいことかも知れませんが、チャレンジしてみる価値は十分にあります。イエスご自身が示された模範なのですから。

 

「わたしもあなたを罪に定めない。行きなさい。今からは決して罪を犯してはなりません。」 (ヨハネの福音書8:11)

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