閉じる

NO.030  2009.03.15

「ホットな心とクールな頭」

 兄弟たち。物の考え方において子どもであってはなりません。悪事においては幼子でありなさい。
しかし考え方においてはおとなになりなさい。(Ⅰコリント14:20)
 

 

 英語でChildlike(チャイルドライク)とchildish(チャイルディッシュ)ということばがあります。どちらも子どもらしいと訳すことができます。しかし、チャイルドライクは「子どものように素直、純粋」といった肯定的な意味に使います。ところが後のチャイルディッシュは「子どもっぽい」とか「幼い」と言うような意味に使い、子どものような未熟さや愚かさに使います。

 パウロはコリントの教会に対して「悪事に於いては幼子でありなさい。」といい「考え方に於いてはおとなになりなさい。」といいました。ここでの幼子とはチャイルドライクの意味で、悪事に対してそれに染まることのない純粋性を保つことを勧めているのでしょう。
しかし、物の考え方に於いてはチャイルディッシュのような幼子、すなわち短絡的で稚拙であったり、未熟であってはならない。おとなとして考え行動しなさいといっています。成熟したバランスのとれた考え方をすることを求めているのです。
 これは、コリントの教会に生じていた霊の賜物の用い方の混乱に対してパウロが送ったアドバイスでした。コリントの教会ではダイナミックな聖霊の働きがあり、様々な霊の賜物が現されていました。しかし、それを受けた信徒のある人はそれを得意げに用いたり賜物を競ったりと、全体の徳を考えないで自分の賜物を用いることに走り礼拝が混乱していました。せっかく与えられた賜物がかえって教会を混乱させるという本末転倒の状態に陥っていたのです。そこでパウロは一人一人がもっとおとなになって教会の全体の益のために秩序を持って賜物を用いることを勧めたのでした。
 もちろん聖霊の火を消してはいけない。霊の賜物を求め続け、秩序を持ってキリストの教会を建て上げるために賜物を用いることを勧めていることも忘れてはいけません。
 子どものような純粋性とおとなとしての成熟した考え方。この二つがバランスよく発揮されるとき、教会は聖霊の力によって前進していくのです。どちらか一方だけでは片手落ちになってしまいます。
熱い心を持つ人はクールな頭を、クールで冷静な人は、ホットな心を求めていきましょう。聖霊に燃やされて心が熱くなればなるほど、伝道熱心になればなるほど、教会を建て上げるためにこの賜物が与えられていることを感謝して用い、周りの兄弟姉妹を励まし助けていく者とさせていただきましょう。決して自分よがりになることなく、一人一人がキリストの体を建て上げ、しっかりと結び合わせられ、堅固な体として成長して行きたいものです。
 「ホットな霊に燃えた心」と「全体を見るクールな頭」、難しいことかも知れませんが、聖霊の助けをいただき、バランスのとれた、愛に溢れた教会を目指していきましょう。

閉じる