閉じる

NO.015  2008.11.30

 「待降節〔アドベント〕」

 

全ての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた。この方はもとから世におられ、
世はこの方を知らなかった。〔ヨハネの福音書1:9-10〕

  「そうだ、バージニア!サンタクロースはいるのです。」という新聞の社説がニューヨーク・サン新聞の社説(1897年9月21日〔火〕付けの新聞)に載ったことがあるそうです。バージニア・オハンロンという8歳の少女いました。彼女が学校に行くと「まだサンタクロースなんか信じているの。おバカさんね」と言われたそうです。今度は家に帰り「お父さん、サンタクロースっていないの」と父親に聞きました。父親は居ると言えば嘘になりそうだし、いないと言ってしまえば、娘の心を傷つけるかも知れない。返事に困った父親は「そりゃあ、お前ね。新聞社に聞いた方がいいと思うよ」。

  彼女はサン新聞に手紙を書きました。「サンタクロースはいるのですか」。手紙を受け取ったのはフランシスチャーチという記者でした。彼は、この少女の手紙には、大人が見失っているものへの問いがあるのではないかと思い、考えた末にこう書きだしました。

  「きっと、その子の心には、今はやりの、何でも疑ってかかる、うたぐりや根性というものが、しみこんでいるのでしょう。うたぐりやは、目に見えるものしか信じません。・・・自分のわからないことは、みんなうそだと決めているのです。けれども、人間が頭で考えられる事なんて、おとなのばあいでも、こどものばあいでも、もともとたいそう限られてるものですよ。私たちの住んでいる、この限りなく広い宇宙では、人間の知恵は、一匹の虫のように、そう、それこそ、ありのように、小さいのです。・・・

そうです、バージニア、サンタクロースがいるというのは、けっしてうそではありません。

  サンタクロースを見た人は、だれもいません。でも、だからといって、サンタクロースがいないと、いえるでしょうか。この世の中で一番確かでほんとうのもの、それはおとなの目にも、子どもの目にも見えないものです。・・・目に見えない世界は、一枚のカーテンでおおわれています。そのカーテンを開けることができるのは、信じる心、想像力、詩、愛、夢見る気持ちだけなのです。そういう心があれば、カーテンの向こうに広がる、美しく、きらきらした輝かしい世界を見ることができるのです。・・・バージニア、カーテンのむこうのそんな世界こそが、ほんとうであり永遠なのです」

(「クリスマスの風景」賀来周一著 キリスト新聞社刊)

 

  この記者の言葉は私たちに見えること、考えて分かることだけが真実だとするような、現代の考え方への挑戦ではないでしょうか。サンタクロースの存在は私たちに目に見えない向こうの世界があることを考えさせ、教えてくれているようです。

  今日からキリスト誕生を待ち望むアドベント、待降節がスタートします。イエスは目に見えない永遠の世界から、この現実の世界に来てくださいました。人類に対する神の大きな愛のご計画が始まった新しい時代の転換点それがクリスマスなのです。

    このイエスに出会うために、信じる心をもう一度しっかりと持つものとなりましょう。神の壮大なご計画の中でキリストは来られ、私たちも生かされているという様相を信仰的な想像力を働かせて描くものとさせていただきましょう。
閉じる