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◆主と共に生きる◆信徒の証し

NO.376 2024.09.15

■黙想エッセイ

 

心理学において自意識とは、自分のアイデンティティを正しく認識して意識化することです。自意識は一人の人の所属とも深く関連しています。自意識とは、自分がだれに属しているかを正確に知ること、つまり「ルーツ意識」とも言えます。世の人たちには民族や故郷、出身が自意識を形成する重要要素ですが、クリスチャンにとっては、自らが天の御国の民であり、信仰共同体の一員であるということが正しい自意識です。パウロはこのような自意識を持っていた良い手本です。彼の手紙には、自分がイエス・キリストによって召された者であるという「召命意識」 と、天の御国を活動の舞台としている働き人であるという「使命意識」 がはっきりと表れています。彼は過去の自分を否定しませんでした。過去の自分はキリストを誹謗した者であり、迫害者であったことを認めています。そして、それゆえに自分は使徒の中で最も小さい者であり、使徒と呼ばれるに値しない者であると謙遜に告白しています(Iコリ15:9)。
彼はこの地で報いを得られず、かえって迫害を受けながらも、「神の恵みによって、私は今の私になりました。そして、私に対するこの神の恵みは無駄にはならず…・・・・・」 (Ⅰコリ15:10) と告白して忠誠を尽くすことができました。 彼にはこの世に誇れるほどの学問や知識がありましたが、天の御国では無益だと言い、それらを誇りませんでした。クリスチャンにはこのような自意識が必要です。イエス様のからだの一部としての自意識が、私たちを強める原動力なのです。

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